失った組織やキズを細胞や成長因子などで再生・修復する治療法です。
創傷外科の分野では、ケガや病気で傷んだ皮膚や組織を修復するための新しい治療法「再生医療」が注目されています。ここでは、再生医療の基本や日本で受けられる治療法についてわかりやすく説明します。
再生医療は、病気やケガで損なわれた組織や臓器の機能を回復させるために、人間の体が本来持つ「再生する力」を利用する医療技術です。この治療法では、細胞や組織などを損傷部分に移植することで修復・再生を促します。
1)細胞を使う治療:患者さん自身の血液や脂肪から取り出した細胞を培養し組織損傷部位に移植します。
2)成長因子を使う治療:キズを治すために必要なタンパク質(成長因子)を直接患部に届けます。
ジェイス®は、日本初の再生医療等製品として2007年に承認され、2009年に保険適用された自家培養表皮です。患者自身の皮膚組織を原材料として作製された表皮細胞シートであり、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングによって製造されています。
移植されたジェイスは通常1週間程度で生着し、2~5年以内に正常皮膚に近い形態が構築されることが期待されています。
1. 重症熱傷
2. 表皮水疱症
3. 先天性巨大色素性母斑
使用上の注意点
ジェイス®は重症熱傷や難治性潰瘍など、従来の治療法では対応が難しい疾患に対して新たな選択肢を提供する再生医療製品です。患者自身の細胞を使用するオーダーメイド製品であり、安全性と有効性が担保されています。治療をご検討の場合は専門医と十分な相談を行うことをおすすめします。
PRP療法とは、血液中の血小板を濃縮した「多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)」を患部に注射することで、組織修復や炎症抑制を促進し、自然治癒力を高める治療法です。患者さん自身の血液から「血小板」を濃縮した液体(PRP)を難治性潰瘍に注射する治療法です。血小板に含まれる成長因子が、キズの治りを早めます。難治性潰瘍に対しては保険が適応されていますので、かかりつけ医にご相談ください。
日本では2014年に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が制定され、再生医療の関する研究や治療が本法律下で実施されるようになり、安全性が強化されました。詳細は厚労省のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000679801.pdf
2025年06月02日掲載